モテがひた隠しにしている梅干し


梅干し 安心と信頼のネットワーク

今までたびたび篠山や今田町に出かけていましたが
今日素晴らしいお店に伺いました

化学調味料を一切使わず野菜をイジメないでそのままで漢方の要素もとりいれて食事は美味しく!を念頭に
トマトのマリネ漬けほうれん草とわかめのお浸し路地人参の梅酢ごまあえ

レンコン豆腐

そうめん寿司梅ジソ入り(そうめんは身体を冷やすので梅シソで中和するとのこと)
なます(干し柿で甘み)

ほうれん草とブロッコリーのおひたし黒米の甘酒と梅酢と玉ねぎのドレッシング

根菜ときのこの春巻
ごほうのフリッター
ごまの釜めし(丹波の黒豆入り)お漬物 カレーとうこんのらっきょう    すらっきょう    パパイヤの梅酢漬け    自家製梅干し
最後に残った笹舟とナンテン笹舟で難を逃す!と

粋なはからい
3人分の箸入れにはこんなステキなご挨拶が…
お野菜はそれ自体の力で子孫を残そうとしているのにそれを人間が途中で命を奪って頂いてしまうのだから感謝の気持ちで、と
こんなに真摯な気持ちでお食事したのは初めてです
いろいろな経験を積まれて深い探求をされている素晴らしいご主人との出会いでした

最近こういう『ほんまもん』の方との出会いがつながっていってます
本当に宇宙に感謝です最近《宇宙のはからい》というのがマイブームです(笑)
恒例のランチ会がとても楽しい勉強会になりました
私の占いについて
こちら

にほんブログ村

 癒しのフォーチュンアドバイザー
         from神戸三田、宝塚
伊関 ゆう    
 
   easygoing58yu@gmail.com

  080-8330-9012

お問い合わせはこちら

          LINE@始めました
 @dzk8391e
           

やる夫で学ぶ梅干し

「おためしでいいから、つきあってみいひん?」

私服に着替え終わって更衣室のロッカーを閉めた直後に、マルがいつものちょっとモジモジした感じで言った。
「え?」
「や、ほら、まえの飲み会のとき、長いこと誰とも付き合ってへんてゆうてたし」
「あぁ…」
「それ聞いてから、なんかものすごいニノのこと気になって」
男やとか女やとか、あんまりニノ関係なさそうやから、と、マルはしどろもどろになりながら、
「とりあえず、今日、ご飯いこ」
そこまで強引にこぎつけて、俺の返事は聞かずに更衣室を出た。
男も女も関係なさそうとはどういうことだ、と思いながら、俺はバッグを肩にかけて、更衣室の電気を消した。
マルはまるで、俺を好きになったのはこの前の飲み会のあとからみたいない言い方をしたけど、実は俺はかなり前から、こいつは俺のこと好きなんだろうな、と思っていたから、特に驚きはしなかった。
けれど、マルの中で『付き合う』という段階まで至っていることには、少しだけびっくりした。

連れて行かれたのは、路地裏の小さな鉄板焼の店だった。
「ここ、ホルモンがおいしいねん」
というマルに、さっさと、
「俺、肉、苦手。ごめん」
そう告げて、勝手に「焼きそばください、それと、お水」と、せわしなく行き来する店のおばさんに注文した。

マルは別にがっかりする様子もなく、「水はセルフやねん」と立ち上がり、傷だらけのグラスに氷の入っていない水を持ってきた。
「氷、苦手やったやんな」
「…うん」
氷が苦手だということは覚えているくせに、肉が苦手な俺にホルモンを勧めてくるちぐはぐな関心に不思議な気持ちになりながら、生ぬるい水を飲んだ。

マルは、梅干しを沈めた焼酎を飲んでいた。
明日はふたりとも休みで、よっぱらったらキス魔になるマルの酒グセの悪さは嫌というほど知っていたから、「付き合わないか」と言われて断るでもなくついてきたからには、もしかしたら今夜、マルとそういうことになる可能性もあるのだろうか、と目の前の男を見つめた。

包み込むようにグラスを持つ、大きな手。

普段はひょうきんな、変顔ばかりしている男の、今みたいにちょっと影のある表情に、たまに胸がどき、とすることがあって、それは忘れたくても忘れられない感情を引きずり出すスイッチになる。

「ニノ?どしたん、食べへんの?」
どう見ても二人前はある焼きそばの山に大量に青のりを振りかけながら、マルが聞く。
俺は、箸を持ち上げた。
なんだか体が重くて、箸さえ重い。
マルの気持ちも重い。
こういうのを一回全部吐き出すには、やっぱりもう一度、浮き立つような恋をするしかないのだろうか。
そんなことをふと考えたけれど、そもそも俺は浮き立つような恋なんてしたことがない。

たったいちどだけの恋は、心が軋んで壊れるような恋だった。

忘れたくて、無かったことにしたくて、それなのに、その恋はいつも、ちいさなきっかけで俺の心に蘇り、胸を締めつける。
「残ったら食べたげるし、食べられるだけ食べや」
マルが言って、ほんの少しだけ、鉄板のこっち側に焼きそばが寄せられた。
ほんのり感じたあたたかさは、それは焼きそばの山を通した鉄板の熱なのだろうけど、マルという男のぬくもりもきっとこんな感じなんだろうなと思った。

さびしい、と思った。

また冬が来る。
もう、冬をひとりで越すのはつらい。
だから、
「いいよ」
と、答えた。
「え?」
「だから、さっきのおためしの話、いいよ」
マルが、鉄板の上に落としたコテが、カランと鳴った。

タイトルとURLをコピーしました